最近のトラックバック

« 民主主義は多数決だが | トップページ | 2018年には »

コンピューターの進歩と職業の変化

今日は、このコラムをご紹介したい。

コンピューターの進歩が我々の未来にどんな変化をもたらすのか。

そういうことを考えてみる機会になると良いが、

その残された時間は少ないかもしれない。

コンピューターが人間の仕事を奪う。新しい話ではないが、真剣に考えるべき時にきたように思える。



 実に様々な職場で人の領分が侵され始めた。工場に続いてオフィスでもかなりの仕事を今や機械が担う。情報技術の普及が雇用や賃金の増加を妨げているという見方も米国で出てきた。

 情報革命の恩恵は大きいが、それを社会全体で被るには、次なる人間の職場をひらかなくてはならない。

 米経済学者らの本「機械との競争」(エリック・ブリニョルフソンとアンドリュー・マカフィー著)が米国で話題だ。リーマン・ショック後の不況から景気が上向いたのに雇用回復力は弱い。その原因は情報技術の進歩が人手を駆逐しているからだと主張する。

 蒸気機関や電気など汎用技術は経済に大きな影響を与えた。その汎用技術の一つである情報技術は、産業利用が爆発的に増える段階に入り、ますます既存の仕事を脅かすとみる。

 言われてみれば日本でも変化は急だ。この10年で生命保険の営業職員は20%、書店数は26%減ったが、保険や本のネット販売の普及と無縁ではあるまい。

 株式市場では人に代わり機械が自動で売買注文を出す高速取引が増え、東京市場の売買の4割を占める。ニュースを読み取引にいかす賢いタイプも現れた。

 トヨタ自動車などは電子制御を用いた完全自動運転の装置を開発した。実用化されればプロの運転手を脅かすかもしれない。

 自動翻訳も進み、主語や述語が明確なら今や8~9割の正確さで訳せる。

 オフィスでは会計や在庫管理、税申告、給与計算など様々なソフトウエアが人の仕事をこなす。

 新井紀子国立情報学研究所教授の著「コンピュータが仕事を奪う」によると、コンピューターは論理と言語を駆使して高度に思考し表現する仕事などが苦手。それでも「ホワイトカラーの仕事量の4割程度はコンピューターに置き換わる」と予想する。

 知的なゲームでは人間を超えた。IBM製ディープ・ブルーがチェスの世界王者、ガルリ・カスパロフに勝ったのは16年前。将棋は奪った駒を使えるので、より複雑だが、昨年初め富士通のソフトが故・米長邦雄永世棋聖を負かした。

 米長氏は自著「われ敗れたり」に、後輩棋士もいつか敗れると予想しつつ「プロ棋士はやはり尊敬に値する、畏怖の念をもって接するべき人たちである」と複雑な胸の内を書いている。

 東京大学の入試問題を解かせる試みもある。それを主導する先述の新井教授によれば問題の意味を機械に正確に理解させるのが特に難しいが、大学入試センター試験の日本史・世界史の4択問題なら6割近く正答できる見込みが出てきた。

 「難しい課題だが、2021年度までに東大に受かる可能性は十分ある」と、ともに研究する松崎拓也同研究所特任准教授。

 よりアタマの良い機械が普及すると、人々の雇用や経済はどうなるのか?

 産業革命の後、機械の導入が進み生産性が高まると、その分野の所得が増えて何かに使われ、新たな雇用を生んだ。

 情報革命も生産性を高める。だが、そのテンポが速すぎて調整が追いつかず失業を生んでいるほか、高いスキルを持つ一部の人に所得が集中し所得格差を広げている。それが「機械との競争」の著者の見立てだ。

 小峰隆夫法政大学教授は「情報技術が今後も急速に進化し続けるか疑問だし、日本では企業が社員を抱えるので失業は急には増えない」と悲観論とは距離を置く。それでも「機械が人の仕事を代替する動きは徐々に進むので、人間でないとできない分野に労働力を移す必要がある」と説く。

 人間だけにできる仕事として何が残るだろう。

 情報機器を“下僕”として使うシステム設計やソフトウエア開発、経営戦略の決定、研究・開発、データの分析など問題意識や創造性を問われる仕事は残る。

 ただしプログラムの作成などは低賃金のアジア諸国に外注される傾向にある。先進国の雇用は情報化とグローバル化の両面から脅かされるのがつらい。

 そこで、高付加価値の仕事ができる人を増やすため教育の充実が重要になる。例えばビッグデータ(大量情報)の解析でも欠かせないのが統計学。「日本の大学で統計学科があるのは1つだけ。こんな先進国はほかにない」と樋口知之統計数理研究所長は憂える。

 機械に奪われないもう一つの分野は介護、保育などサービス業だ。難点は収入が多くないこと。原因の一つは政府規制にある。

 「政府が決める介護報酬に、質の高いサービスをする人が料金を上乗せできるようにすれば、競争を通じ高収入の“カリスマ介護士”も可能」と八代尚宏国際基督教大学客員教授。

 規制緩和は起業の促進にも重要だ。企業には中途採用の拡大など転職しやすい環境づくりが求められる。終身雇用制や規制などで企業間や産業間の人の移動が妨げられてきた日本。技術の進歩が迫る労働力の流動化は大きな挑戦だ。

 英国では産業革命の始まりから約50年で労働者の機械打ち壊し運動が起きた。パソコン登場から約40年、インターネットは約20年。働く人が追い込まれる前に手を打ちたい。人の力で。

« 民主主義は多数決だが | トップページ | 2018年には »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: コンピューターの進歩と職業の変化:

« 民主主義は多数決だが | トップページ | 2018年には »

2018年10月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ